再び、基礎医でございます。
(これは、鎌倉さんのお返事とは別に送らせていただきました)。私、愛子天皇論第6回の感想を科学の話中心に書いたのですが(https://aiko-sama.com/archives/23284)、先日、岡山で開催された「ときめきの愛子天皇」で参加者の方とお話ししているときに、Y染色体の科学に興味あり(クミコとは異なる意味で)というやりとりがありましたので、この場を借りて、自分の感想に少しだけ補足したいことがございます。
それは、「Y染色体の縮退‘(もっというと消失)」という話でございます。Y染色体は感想に書きましたように、大部分は組み換えを起こすことなく、次世代に伝わります。しかしながら、そうすると1つ大きな問題が生じる可能性があり、染色体への有害な変異が蓄積する、ということです。通常、そのような配列には、“自然淘汰”という選択圧がかかり集団中から排除されるのですが、Y染色体は組み換えが起こらないため、DNAが複製されるたび(DNA代謝回転という)に変異が進み、染色体は断続的な欠失をくりかえす、すなわち確実に、短くなっていく可能性があります。
ゲノム情報が増えていくと、その消失時期が予想することか可能で、あるシミュレーションによると1000万年後には、消滅する試算もございます。ただ、申し上げたかったのはここからで、先ほどのような現象がある一方で、雄性特異的領域は種の保存に必須なので、この領域は進化の過程で、他の染色体に転移することで回避されると思われます。実際、哺乳類でも琉球トゲネズミ(Ryukyus spiny rat)はY染色体を持っておりません(ゲノム配列を調べると、常染色体やX染色体に遺伝子群が転移された、という進化的な適応が起こったようです)。なので、未来的に人類からY染色体が消失しても種を維持することは可能で、特に崇め奉るものではない、ということなのではないかと(あくまでも、「愛子天皇論 第6章」に書かれていたように、ゲノム全体のシャッフル(リコンビネーション)が重要かと、思う次第です)。
ご参考までに