近世以前に男が月代を剃ったり女がお歯黒を塗ったりする慣習は、若年層があえて「老い」を擬態することによってより成熟へ近付こうとする、現在とは完全に正反対の思想が含まれていたからではないかという気がしました。それだけ老成する、老いるということに意義があった風土が文化の中に根付いていたということでしょうか。
翻って、老人が若さを擬態する今の風潮は「消費者としては若者にしか意義がない」という資本経済の壮大なステマに誘導されているかのようで不気味です。
爺さま方にはできるだけ貯め込んだ金は使ってほしいですが、今さら自分磨きするのではなく、できれば下の世代を磨くために使ってほしい。よしりん先生が自費でゴー宣道場を続けているように公に向かって使ってくれたらなあと思います。今の爺さま方も私しかないから、自分磨きしか思い付かないんでしょうか。身だしなみは公に向けてのものですが、アンチエイジングは私だけに向けているから違和感があるのかも。
やはり若さに執着することと、生を充溢させることは全くの別物なんだろうな、と考えさせられました。