よしりん先生、木蘭先生、みなぼん編集長、執筆・編集・配信、ありがとうございます。
ゴー宣では非常に解りやすく丁寧な解説をありがとうございました。その解説は池上彰をはるかに超えています。よしりん先生が「価値判断はしない」とされたのは、自分たちで下してみろという宿題だと受け止めました。どこまで出来るか分かりませんが、やってみたいと思います。
西郷南洲遺訓には「文明ならば、未開の国に対しなば、慈愛を本とし、懇々説諭して開明に導く可きに、左は無くして未開蒙昧の国に対する程、むごく残忍の事を致し、己れを利するは野蛮ぢゃ」とあります。これを現在の欧米とイスラムの関係に当てはめると、未開の國=アラブ諸国、野蛮国=欧米となります。
欧米諸国は、白人でかつキリスト教徒こそが世界の盟主に相応しいと思い込んでいます。それゆえ第二次大戦前の残忍な植民地政策も戦後の白人に有利なグローバリズムや非白人に対する差別的待遇も反省することはありません。自分たち旧宗主国の決めた秩序(サイクス・ピコ協定など)と自分たちが信奉する民主主義(政治制度として民主制が絶対に正しいというイデオロギー)も絶対だと考えています。だから白人1人に対して非白人1000人でようやくつり合いが取れると思い上っているわけです。西郷イズムからすれば、これは明らかに野蛮です。
イスラム者にとっては、部族間の争いが絶えないアラブ人を何とかまとめ上げてきたイスラムの信仰こそが至上の価値であり、それ故イスラムの教えに反する近代化の全てを否定する傾向があります。西洋主導の近代化には確かに問題が多く、グローバル企業や富裕層の欲望を満たすため世界中で格差を拡大させるという負の部分は、産業革命以降の宿痾として現在も暗い陰を落としています。しかし西洋には絶対王政による圧制を排してきた歴史があり、女性の権利向上など正の部分にも目を向けなければ公正ではありません。
イスラム国やイスラム原理主義組織は、信仰に伴う因習と化したかもしれない慣行(女性に教育を受けさせないなど)を固守しており、無秩序化が進んだテロ組織ではその悪弊が噴出しています。やはりこれは未開の老弊を保守したがゆえの野蛮だと言えます。しかし、イスラム圏の国々の中で最も近代化に成功したフセイン独裁のイラクや、比較的安定していたアラブの王族国家を次々制裁の対象にしていき、その破壊の中から野蛮なテロ組織を生み出していく欧米の野蛮さの方がはるかに上回っていると考えます。
よしりん先生が執筆されている『大東亜論』は玄洋社にまつわる人々の群像劇ですが、彼らの理想は西アジア(中近東)までを含む大亜細亜主義であり、それは野蛮な西欧列強への有効な対抗軸と捉えていたと思われます。彼らはまたアジアの未開の国々を懇々説諭して開明に導く西郷イズムを継承しています。この行き方による道義外交は現在の国際情勢にも十分活かせるものだと考えます。
軍事ではテロを制圧できないなら、なおさら根気よく説諭により開明に導くしかないと考えます。西洋の近代主義とは一線を画した価値を日本が提示しながら、例えばアラブの王族国家には明治日本を踏まえた立憲君主制を奨め、半祭政一致から始めて徐々に近代化に導くという方法が考えられます。西洋の消費社会やグローバリズムには日本の江戸期の超リサイクル社会や共同体社会を対抗軸にすれば、イスラム社会の共感を得られるかもしれません。
しかし、未開を開明に導く希望となる価値が日本にあったとしても、日本が道義外交を展開するには米国の属国のままでは絶対に不可能であります。大西郷や玄洋社など道義外交をやってきた先人たちの歴史を持つ日本であれば、世界のためにも目覚めて独立を果たし、もう一度道義外交を掲げていく必要があるのではないかと考えるわけです。
こんなので宿題の答えになるかどうか心許ないですが… na85