日本の潜在成長率はせいぜいが0.5%程度と言われていますが、これを2%以上に引き上げたいというのが安倍政権の経済政策なんですよね。物価上昇率の目標が2%なわけですから。
しかしこの需要飽和状態の世界で、発展途上国ならいざ知らず先進国で潜在成長率の引き上げに成功した国などあるはずもないのです。その無理なプランに国民の資産を賭けようというのだからまさしく売国奴と呼ぶのに相応しい所業です。
本来ならば0.5%の成長率に応じた形に社会・制度をリサイズしようという提案が野党側から出されるべきなのですが、現代の経済成長前提の社会システムでは、そのような成長否定の政策が政治的にハイリスクだということも理解できます。国防・社会保障・国土保全などあらゆる分野において、現状維持のメンテナンスでさえも0.5%成長では賄えないはず。必然的に縮小するか放棄しなければならない事も出てきて、それによって不利益を被る人々も数多くいますよね。その彼らを説得するには今の安倍政権レベルの強大な政治資源が必要ではなかろうかと思うのです。
個人レベルで成長よりも充足を求めるのはまあ本人次第ですが、これを国家の政策の根底に据えるという事へのハードルの高さがまさに見田宗介氏の言う「第二の曲がり角を乗り切るにも100年はかかるだろう」ということなのだろうと考えています。