よしりん先生、よいしょ先生、みなぼん編集長、執筆・編集・配信ありがとうございました。
明治期以降の日本においては、天皇はその権威ゆえ事実上国家権力を補完する役割を担わされていると思われます。立憲君主制が採用されているからには、天皇も政府もともに憲法に縛られていなければなりませんが、現実には君側の奸が政府に跋扈しがちです。そんな中、天皇はあえて進んで憲法を遵守することで、政府を壟断する者たちを牽制してこられたのだと思います。戦前も戦後も。
戦前昭和においては、陸・海軍大臣の引き上げという手段で軍部が政府を掌握し、議会を空転させていくわけですが、そのきっかけとなる事件が天皇機関説事件だと今回初めて知ることができました。ありがとうございます。
軍部が立法府を無視して戦争を続けていくためには、天皇が立法・行政・司法の三権を総攬するだけの「天皇機関説」より、天皇に(形だけの)主権があって軍部が行政府を掌握できる「天皇主体説」のほうが都合がよかったわけでしょう。そんな私的な目的のために「天皇陛下を機関車に例えるとは何事か!」などという難癖をつけ、天皇機関説へのネガキャンを行ったわけです。当時の軍部とは、まさに君側の奸だと言えます。また、マスコミが煽り立てて圧倒的多数の国民が支持した戦争を軍は止めることができず、立憲主義も議会政治も蔑ろにされたまま破滅的な敗戦への一本道を進んでいったわけですから、昭和天皇以外の全国民も軍部と同罪だと言って良いでしょう。
よしりん先生が『戦争論』を書かれてしばらく後の「新ゴー宣」で、「これから揺り戻しがくるぞ」と早くも警告を出しておられました。果たして、そのような事態はやって来ました。大東亜戦争の再評価により米国への敵愾心を喚起して独立心を養おうという『戦争論』の理想の部分は抜け落ち、戦うのは怖いけど近隣諸国にだけは強く出たいから米国への依存度を強めたいという『戦争論』の思想とは真逆の習性を持ったネトウヨや自称保守が、戦争論チルドレンだと誤認されるまでに至っています。
そういう人々に支えられた安倍政権は、今再び立憲主義と議会政治を蔑ろにし、絶望的な戦争への道をひた走っているように見えます。しかも今度は、かつての独立を守りアジア解放を目指した米英との戦争とは違って、米国の忠実な子分として他国を侵略する大儀も主体性もない戦争に加担するのです。
政府サイドは戦前昭和と同じく絶望的な状況ですが、かつては単にイケイケどんどんでしかなかった世論が、今では「侵略戦争に加担する安保法案には反対」でも「侵略されたら戦う」という人々によるデモが行われることは、庶民サイドに希望が見出せるということです。こういう人たちこそ『戦争論』の正統な後継者だと思われます。
さて、よいしょ先生ご紹介の著書はもはや妄想が病理レベルですね。昭和天皇以降の皇室の出産傾向と小和田家のそれとから、共産主義者が女児誕生を予想していたという件を読んだとき、心底ゾッとしました。中川八洋先生のご病状にです。このような男系固執論者のヤバさを炙り出せば、男系維持のために女性宮家を潰した安倍も同類だと気づいてくれる人は増えると思います。苦しいとは思いますが、どうか頑張ってください。
天皇を自由にできると思い上がった逆臣はいつの時代にもいる na85