徴兵制の議論でルソーの『社会契約論』の話が出てきていますね。
私は大学の授業で教科書として読んだのですが、そもそも国家と個人の契約において、その国家に所属する個人は人権等の権利を国家に保証する代償として納税と徴兵の義務を負う、という内容だったと記憶しております。
ヨーロッパ諸国では、王制から民主制に移行する場合に、王が支配してた国家を民衆の代表が支配するということになり、その時に生まれたのが憲法と立憲主義で、その制度の思想的背景になったのが『社会契約論』です。
ヨーロッパでは自分の国は自分で守るということは当たり前の常識としてある思想であるのに対して、日本の場合、明治維新までは領地を守るのは武士で、百姓は武士に守られながら農作物を作って年貢として納めることになっていました。
明治以降、日本の近代化とともに徴兵制が生まれたのです。しかし大東亜戦争でアメリカが日本を武装解除して憲法9条という縛りをかけたことで、日本人は明治維新以前の軍隊と庶民の関係に先祖返りしてしまったのが本音なのかもしれません。
現状では明治維新以前の日本に戻ることはまず不可能です。傭兵制を取る国もないことはないのですが、自衛隊というものが憲法違反の状況で存在する「いびつな傭兵」である以上、憲法を改正して徴兵制を敷くことが最もコストを掛けずに国を守ることができる方法だと思われます。