赤軍派の人達は、北朝鮮国家の特権階級の一員として、自堕落に安逸をむさぼっています。もし玄洋社のみんなが現代に蘇ったとしたら、金正恩体制を倒しに北朝鮮に行こうとするんじゃないですか。まったく自分の損にしかならないのに、死ぬかもしれないのに、弱きを助け強きを挫こうとするでしょう。
赤軍派の人達は賢いのです。私達も同じように賢い。しかし、玄洋社の人達は愚かです。谷崎潤一郎の『刺青』に「其れはまだ人々が「愚」と云ふ貴い徳を持つて居て、世の中が今のやうに激しく軋み合はない時分であつた」という一文があります。谷崎のこの処女作が発表されたのは明治43年で、この時すでに世の中が軋み合ってるっていうんです。血風士魂篇で、小林先生は日本精神のさらに深い場所へ私達を連れて行こうとしているのかも。