投稿失礼します。「第163章 ウクライナ・ナショナリズムの歴史 その2」の感想です。
ソ連は悪名高いのでなんとなく予想してましたが・・・平常心を保てない回でした。
これが国家間の興亡の現実なんですね。ウクライナの、大国と国際社会の腹一つで蹂躙され続け虐殺され続ける20世紀の歴史に怖気がします。恐ろしいのは、その死者の数です。百万単位で死んでいく。強制徴発と飢饉、独ソ戦など、ウクライナの事情を全く意に介さない政策や、独裁者の覇権争いのために――個々人それぞれの人生の価値などないも同然で、虫けらみたいに死んでいく。ウクライナのためではなく、大国の人間たちと独裁者の、利益と見栄と幸福のために。
個人的に邪悪の極みだと思ったのは、ウクライナ・ナショナリズムの強い農民層を潰すために意図的に飢餓輸出、人為的飢饉を引き起こして、実質的な虐殺をしていたことです。直接的な殺害ではなく、こうやって間接的に殺す。うまく書けませんが・・・外面とか体面とか保身とか、または「罪を背負いたくない、逃れたい」とか・・・とにかく、偽善や身勝手な免罪、言い訳、罪から逃れたい保身というものを感じます。こういう形で殺せば、抵抗なく楽に殺れるし、処刑よりも罪悪感はないということでしょうか?人間の深淵を感じます。
今回に限らずですが、特に今回は10代、20代の人に読んでほしいです。
最後のセリフ「平和ボケの日本人には、この恐ろしさがわかるだろうか!?」――その恐ろしさを強烈に感じられる回でした。そして支配から逃れることが出来た日本人の幸福と、現在の惰弱ぶりも透かし見ることが出来ます。
そして地獄巡りは、次回もあるんですね。
覚悟を決めて読みたいと思います。