〇 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第267回「男尊女卑に血の穢れ…それ、いつの時代ですか?」
正直言って、思春期の私は「生理」とは何なのか、分からなかったです。かつての小学館の「小学六年生」にもそういう小説が掲載されていたのですが、いったい、怪我もしていないのに、体内から「血」が排出される状態というのが理解できなかったし、確かにこういう話をしていると非常に恥ずかしくなるのですが、でも、それが「穢れ」とか「不浄」にあたるという概念は、もっと大きくなってから生まれたものだったように思います。確か流産のことを「血荒」(ちあれ)というのですが、それも「平安時代」以降のものなのでしょうか?系図の江戸時代の将軍の徳川家斉や家慶の子供を見ていると、「御血荒」という言葉が非常に目立つのですが。
それはともかくとして、今でも正直「生理」というと、「こいつは生理的に好かない」とか「生理学」とかそういうイメージになってしまい、いまいち月経には結びつかないです。そして、月経自体にも、自然現象みたいな感慨しか湧かず、そういう時はとりわけ女性をいたわるべきだ、という注意勧告しか生じないです。
倉田真由美の申していることはともかく(あくまでも己の発言への責任回避であり、どの立場へも転がれるような準備としか見えない。それこそ、『新おぼっちゃまくん』の裏切りの里に登場した蝙蝠男みたいに。あの人、結局どうなったんですか?)、山口真由の発言も、何かそういう迷信みたいなものを持ち出せば、古くからの「伝統」みたいに勘違いする人も現れるのだろうと、それこそ「勘違い」しているのだろうと感じられました。
これだけでおしまいにすればいいのでしょうが、折角なので、前の号のコメント欄で触れた、出水守真名さんという漫画家の作品、「赤い海」という作品の解説をしておきます。コアマガジン社の『TERARIUM(テラリウム)』という単行本に収録されているのですが、こういう作品を嫌悪したり、忌諱したり、低く見るする傾向が何だか「言論」の場ではあるのではないか、と思うので、少しつけ加えますが、「だったら、そういう偏見や色眼鏡をつける前に、それがどういうものであり、何を訴えているものなのか、目を通してみてください」と申し述べておきます。
話の設定は、家人の留守中に彼氏の家にお泊まりしている女の子がいて、一度そういうことをして、「生理前、私の頭は発情期になり 躰はそれにつられて熱くなってくる」と心の中で述懐し、彼氏に「ボーンと飛んじゃってさ その後水の底にズブズブ沈んで行く感じ…いつもは水面をたゆたゆってしてるのにね」と呟いているところで、その後で、彼氏が「今日 泊まってゆくだろ-?」と尋ねられたので、「多分、今夜か明日辺り生理 始まっちゃうんだよね…」と答えたので、彼氏が「…でさ…やっぱり生理ってやっぱり血…出るんだよな?」ときいてきたので、「おいおい、ちゃんと性教育を受けたのか-?」
それに対して、彼氏が「だってよお- あそこから血が流れてくるのかと思うと、すっげ-痛そうでこわくてこわくて」と。ヒロインは、「あのねぇ 別にケガしてるわけでなし 血ぐらい…」
前置きが長いのですが、これも「生理」ということに関する一般の男性の「印象」なのだろうと記しておきます。
そんな折りにTVから政治家の演説が流れてきます。
「血を流す覚悟で!! 命をかけてでも!! 私はこの改革を断行することで…!!」
彼氏:「はりきってるなあ、このオヤジ」
ヒロイン:「大げさなオヤジだなあ どーして血を流すことと命をかけることが同じ次元になるんだろ-?
女の子は毎月 血い ザバザバだから あんな悲壮な感じで言われると笑えちゃうよね-
…あらあ?どしたの?」
彼氏:俺…何で男の方が女より体でかくて力強くてHにできているのか やっと分かった その位ハンデがないと 絶対かないっこねーもん
ヒロイン:…そんなもんかなあ…
少し何か参考になったでしょうか?ちなみに、最終ページのセリフ
この奥はね もっと熱い もっと深い海へとつながっているんだ…私たちはきっとそこからきたんだと思うの だから一緒に行こう 力尽きた躰から抜けだして…ね?沈んで行く先は 夢もない深い眠りの底
山口真由さんは、こういう話をもっと読んでみた方がいいのでは、という私の意見です。殆ど引用になってしまいました。すみません。
なお、もくれんさんが引用された倭建命のセリフですが、手持ちの『古事記』で確認してみましたが、
倭建命
〔ひさかたの〕 天の香具山 利鎌(とがま)に さ渡る鵠(くび) 弱細(ひはぼそ) 手弱腕(たわやがひな)を 枕(ま)かむとは 我(あれ)はすれど さ寝むとは 我(あれ)は思へど 汝(な)が著(け)せる 襲(おすひ)の裾(すそ)に 月立ちにけり
美夜受比売
〔高光る〕 日の御子 〔やすみしし〕 わが大君 〔あらたまの〕 年が来経(きふ)れば 〔あらたまの〕 月は来経(きへ)往(ゆ)く 諾(うべ)な諾な 君待ち難(がた)に 我(わ)が著(け)せる 襲(おすひ)の裾に 月立たなむよ
となっており、このように漢字をまぜたり、枕詞を強調したりすると、意外に古文も分かりやすくなるのかな、という気がしました。以上、つまらぬお節介でした。 ごめんなさい。
こんな感じです。
Q&Aの倉持仁の治療薬の件で、身近でも「コロナやインフルエンザは治療薬がないから怖いんだよ」を聞きました。薬があればすべてが解決すると思っている。薬は毒から作るもので、ある病原体に対抗するため、それに匹敵するものを投与している。かつて読んだアラビアン・ナイトの話に、薬というからには体に害のあるものではないだろうと仮病で医者の処方する薬を飲むお姫様がおりましたが、どうなのかな、と思います。
ルールとマナーの違いが出ておりましたが、先にあげた知人の話のつづきですが、彼も「マスクが要るのなら、それをルールブックに記して欲しい、ならば、規則として従わねばならぬのは理解できます。そうでなければ、ただの押しつけです」と言ったそうです。
それでは次号を期待します。