宏美さん
貴重な体験を語っていただきありがとうございます。例え目の前で問題が生じていてもその問題に気が付かない場合が多く、気が付いていても自分にできうることがほとんどないという現実を再認識しました。これはその人個人が悪いのではなく、例外中の例外を除いて人はこのように弱い存在であるからこそ皆が共同体を大切にしてきたのではないのかと思います。
そして、その共同体とは一人が多少の権力や金銭力などの力を持ったからと言って完全に共同体を破壊して生きていけるわけではありませんし、人間が心の拠り所を求めるからこそ信仰や自己啓発などが流行るのだと思います。近年は個人主義が大事であり、共同体が煩わしいものであると知識人の多くや政府を筆頭に宣伝されてきましたが、今回取り上げられた児童養護施設の問題一つ見ても共同体が健全な子どもを育てるためになくてはならない存在であったかを再認識することになりました。逆に個人主義である現在社会こそ嫉妬や僻みなどの私怨に歯止めがきかずにいらぬ煩わしさが蔓延っているようにしか思えませんし宏美さんの体験を読んでみると、個人主義で共同体が崩壊しているからこそ目に見える問題の解決への動きすら生じることがないのだと強く感じました。
これも結局は共同体の崩壊を個人主義を宣伝し、過剰な近代化を絶賛してきた結果による限界が生じていて、人間がこの限界に耐えきれないほどに弱くなっているのだと思います。宏美さんの体験を読むと、共同体の再構築が急務であり、今後自分が取り組む事業にも宏美さんの寄稿は大きく心にとどめながら取り組んでいくと思います。