magome の削除コメント

 前倒しで記事を書いていただき、予定通りの配信を読むことが出来ました。ありがとうございます。今回のライジングで取り上げられた児童養護施設入居体験者の寄稿文を読んで、児童養護施設の職員による児童への虐待などの不正行為が例外的な事件、または昔の話、あるいは作り話なのではなかったことを知り、大変に心が痛みました。そして、さらにこれまで私を含む多くの方々が余にも無関心すぎたことにも大きな衝撃を受けました。これまで様々な社会問題を取り上げた新聞の社会欄や論壇誌を読んできましたが、子供の教育問題や少子化問題について取り上げた記事は数多く目を通しましたが児童福祉施設の問題について取り上げた記事はついに一回も目にしかことがありませんでした。親友に二人ほど児童福祉施設で奉仕活動を行っている方がいて少しばかりは児童福祉施設の存在は知っていましたが、そこには逆境に負けずに逞しく成長していく子供の事しか耳にしませんでした。よって、今回、ライジングで児童施設入居者だった方の寄稿文を読むまで児童福祉施設がこれほどまでに悪い状況に至っていることは想像すらできませんでした。特にひどかったのが進学率の低さでこれが地域だったらまだしも県単位で高等教育を受けられる児童がいないとなるともはや人権にかかわる問題であり、とても人権が行き届いた近代社会の福祉としての体制が整っているとは思えません。
 同じ福祉でもこの児童養護施設の問題は動物福祉以上の問題なのではないのかと思います。問題は動物福祉の方がまだ大きく取り上げられていると感じるからであり、もし、動物福祉で同じように職員などによる虐待などの不正が蔓延っていた場合、報道機関は放っておかないと思いますし、これまでも動物福祉による不正は週刊誌などの数々の報道機関が取り上げてきて多数のNPOなどの活動家が名を束ね、国会でも度々取り上げられています。しかし、児童養護施設はこのように大々的に取り上げられた例はほとんどなく、ましては国会で大問題となったという話も聞かないことから、我々にとって児童養護施設の児童たちは動物以下なのではないのかと怒りとともに自分の情けなさ、無関心さに正直、大きな後ろめたい気持ちがいっぱいになりました。
 大人からの愛情を受けなかった児童は社会的にも適応力が低いことが近年問題となっているようですが、私の祖父も私生児だったために祖父の祖父母がなくなった後、養父からの苛めと母からの愛情を受けられなかったことからその後の性格に大きく影響し、家族や親戚、親友との関係でも大きな溝を作ることが多く、人付き合いで大変な苦労を背負うことが多く、いまでもその苦労によって大きな損を背負っています。児童養護施設に入り、親に虐待を受けたからと言って問題のある性格に育つとは限りませんが、親から虐待されて児童養護施設でも虐待されようものならば祖父のように内心の成長に問題が生じ、社会で生きていけない人が増えてしまいかねません。
 「明日、ママがいない」の内容をドキュメンタリーで取り上げろという輩がいますが、恐らく、このようなことを言う人はまともに番組や書物を見て楽しんだことがないからこそ言えるのだと思います。なぜなら、ドキュメンタリーであれ創作物であれ、最も印象に残る作品は名作品だけだからです。今回問題となった「明日、ママがいない」は恐らくは久々の名作だったからこそ大きく取り上げられたのであって、これが駄作であればだれも話題にすらしなかったでしょう。また、ドキュメンタリーで多くの人々に影響を及ぼすのは創作物よりも難しく、一部の趣味で見ている方以外に関心は集まりませんし、関心を持つきっかけにすらなりません。これは話題の番組を見た翌日に学校や会社、あるいは家族間で話題になる番組にドキュメンタリーが少ないことからも経験上解ると思います。これは雑誌や新聞記事、そして報道番組でも同じです。近年は報道番組の視聴率を含むテレビ番組の視聴率が全体的に低くなっている事から、むしろ、一般的に視聴率が低いドキュメンタリーよりも「明日、ママがいない」のような娯楽性の高い創作番組の方が、より多くの人が現実の児童養護施設の問題について、関心を持ってくれる可能性が高いではないのかと思えてなりません。なぜなら、番組が創作の場合は通常、その番組内容を鵜呑みにすることはなく自分で調べますが、ドキュメンタリーとなるとその内容を鵜呑みにしてそれ以上、自分で調べようとする人が少ないからです。
 一昔前でしたら自分で調べることは難しかったかもしれませんが、ネットが普及した今こそ、ネット間で「明日、ママがいない」について罵倒する暇があるんだったら、情報網を使って事実を調べあげて「明日、ママがいない」が拡張か、それとも現実なのか調べて現実の児童養護施設の問題に一人でも多く、関心を持って改善に一人でできることからでも取り組んでいってほしいと思います。また、国も本当に少子化が問題と見ているならば大人の愛情を受けられずに健全な社会人としての成長が難しい児童たちに少しでも大人の愛情が受けられるように働き始めるべきですし、論壇誌でも人権派であれ憂国派であれ、子供の人権と将来性がなければ人権を守ったことにもなりませんし、国を維持して発展させることもできないのですから、今からでも児童養護施設と虐待の問題についてどうすればいいか、本気で取り組んでいってほしいと思います。
 私の親友で一人、年一回年末に児童養護施設で奉仕活動をしている方がいますので早速、今回のライジングの記事を紹介して彼の意見を聞いて自分が出来ることは何か模索しようかと考えています。

日時
2014-01
投稿者
magome
記事
「『明日、ママがいない』と児童養護施設の実態」小林よしのりライジング Vol.73
No.
56