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 うさぎです。高森先生の『「女性天皇」の成立』にも名前が出ていた、日本古代史・女性史の義江明子さんの著書を、何冊か読んでみました。それによって、古代には日本の女性は政治や軍事において強いリーダーシップを発揮していたこと、また経済においても大きな権限を持っていたことについて、理解を深めることが出来ました。

 2004年に出版された『古代女性史への招待/<妹の力>を超えて』という本には、古代日本において女性が政治・経済・社会において果たしていた役割についてのエッセイがたくさん収録されており、古代女性史の入門書としてとても優れているように思いました。

 翌年の2005年の『つくられた卑弥呼/<女>の創出と国家』という著書では、私たちが現在、卑弥呼について持っている「俗世の事柄にコミットしない女性霊能者」というイメージが、実は明治時代後期に学者によって作り上げられたものであることが論じられています。義江さんによると、明治以前には、卑弥呼のイメージは神功皇后(=強い軍事的指導者としての女性)のイメージと重なっていたそうです。

 最後に高森先生が引用されていた『女帝の古代王権史』(2021年)について。この本では推古、持統、孝謙などの古代の女帝についての議論に、それぞれ一章が割かれており、これらの女帝がいかに重要な政治的・社会的役割を果たしたかが、詳しく論じられています。この本も、とても勉強になりました。

 古代における女性指導者たちの活躍を知ると、「日本の女性天皇は中継ぎにすぎない」などといった文句をふりかざして女帝たちを過小評価しようとする男系主義者たちの議論が、いかに浅薄なものであるかがよく分かります。
 
*次のネット記事では、義江明子さんが自分の研究について分かりやすく解説してくれています。興味のある方は、ぜひ御一読を。

<古代女性史から解き明かす皇位継承のジェンダーバイアス:女帝「中継ぎ説」を問い直す>
https://news.yahoo.co.jp/articles/e52149cd7081d3de76cd2c02bcc0068229230034

日時
2022-06-06 21:15
投稿者
Dr.U
記事
「謝ったら死ぬ病」小林よしのりライジング Vol.436
No.
423